人を褒める言葉を集めてみた

人を乏しめる言葉よりも奇麗な言葉を覚えようとふと思い立ち、褒め言葉に使えそうな言葉をつらつらと並べてみた。 ※がついているのは、場合によっては悪くとらえられてしまうかもしれない。

人柄・ふるまいの褒め言葉

  • 温和
  • 柔和
  • 温柔、敦厚、温柔敦厚
  • 大様
  • 鷹揚
  • 豪放磊落
  • 頼もしい
  • 甲斐甲斐しい
  • 豪傑、豪傑肌
  • 気風がよい
  • 明朗、闊達、明朗闊達
  • 恬淡、無欲恬淡
  • 雅量に富む
  • 几帳面
  • 謹厳実直
  • 篤実
  • 誠実
  • 律儀
  • 勇敢
  • 飄逸
  • 慇懃
  • 涅すれども緇まず
  • 従容
  • 高邁󠄀
  • 気前がよい
  • 気立てがよい
  • 悠揚迫らぬ
  • 飾り気のない※
  • 慇懃
  • 義理堅い
  • 竹を割ったような
  • 饒舌※
  • 忍耐強い
  • 寛仁、大度、寛仁大度
  • 清廉潔白、清廉
  • 謙虚
  • 恭謙
  • 勇猛果敢
  • 堅実
  • 潔い
  • 風流人、風雅人
  • 粋人
  • 泰然自若
  • 忍耐強い
  • 器量が大きい
  • 気宇壮大
  • 雅量に富む
  • 剛毅
  • 凛然
  • 男伊達
  • 女丈夫
  • 剛直
  • 廉直
  • 蘊藉
  • 折目正しい
  • 小忠実
  • 忠実忠実しい

知性や技量の褒め言葉

  • 高邁
  • 英邁
  • 俊英
  • 才媛
  • 才子
  • 穎悟
  • 篤学
  • 碩学
  • 該博
  • 博学、博学多才
  • 博識
  • 博覧強記
  • 怜悧
  • 鋭敏
  • 慧眼の士
  • 通暁
  • 聡明
  • 明晰
  • 明哲
  • 卓識
  • 機知に富む
  • 泰斗、泰山北斗
  • いぶし銀※
  • 老練
  • 宿徳老成、宿老
  • 円熟
  • 才気煥発
  • 造詣が深い
  • 才藻
  • 白眉
  • 粒ぞろい※
  • 手利き
  • 多芸多才
  • 辣腕家
  • 耆宿
  • 達者
  • 手忠実
  • 気働き
  • 目端が利く※

姿や見え方の褒め言葉

  • 洒脱
  • 瀟洒
  • 矍鑠
  • 好々爺
  • 雄々しい
  • 益荒男
  • 手弱女
  • 﨟闌ける
  • 八面玲瓏
  • 紅顔
  • 白皙
  • 艶やか
  • 淑やか
  • 婉然
  • 艶冶
  • 典雅
  • 濡烏、烏の濡れ羽色
  • 柳眉
  • 柳腰
  • 楚腰
  • 美童
  • 美丈夫
  • 偉丈夫
  • 眉目秀麗
  • 容姿端麗
  • 明眸皓歯
  • 麗人
  • 辨天
  • 麗姿
  • 凛々しい
  • 清楚
  • 楚々
  • 器量の良い
  • 颯爽
  • 若やいだ

功績の褒め言葉

  • 功成り名遂げる
  • 金字塔
  • 大家
  • 大御所
  • 第一人者
  • 殊勲を立てる
  • 偉勲を立てる
  • 赫々たる
  • 名を馳せる
  • 巨擘
  • 女傑
  • 名望家
  • 宗匠

 読んで意味が理解できたとしても、自然と口に出したり書き出したりするのは格段と難しい。常日頃から人の良いところを見つけて言葉にできる人になりたいものだ。

日付から曜日を暗算したい!

 映画「サマーウォーズ」ではヒロインの誕生日から曜日を計算するシーンがある。子供の頃の自分はこのシーンに惹かれていたのを覚えている。年月日から曜日をパパっと計算して自慢したいと思っていたのだ。いろいろなウェブサイトを調べて暗算方法の存在を知り、扱えるようになった際は嬉しかった。

 そこからだいぶ月日が経ったが、改めて暗算向けの有名な方法を記事にしようと思う。曜日計算を紹介するウェブ上の記事は既に数知れずあるが、自分の言葉でまとめてみたい。

曜日の計算とは

 サマーウォーズで主人公は曜日計算のことをモジュロ演算と呼んでいた。ここでのモジュロ演算とは、整数を整数で割った際の余りを求める計算である。曜日は月曜日から日曜日の七曜あり、7という数字が割る数として重要になる。
 曜日計算の中身が何をしているかざっくりと言えば、曜日は7日周期のため、基準となる日から求めたい日付までの経過日数を7で割ってずれを考慮すれば曜日が求まるのである。具体的なイメージとしては、2026年1月1日(木曜日)を基準日として、2026年1月20日の曜日を求めたい場合を考える。日数の差分19日を7で割った余りは、5になる。木曜日に5つ足して、金、土、日、月、火で、火曜日となる。この考えをもっと効率よく行えばよい。
 曜日計算には様々な方法が知られており、頑張れば暗算可能なものもある。実際、イギリスで開催されるマインドスポーツの大会「マインドスポーツオリンピアード」を始めとして、暗算や記憶力の大会でよく出題される。ゲーム感覚で遊べるサイトも用意されている。

計算前の事前知識

 具体的な手法の説明に入る前に、暦に関連する事前知識をまとめておく。計算方法に直接関係ないことも多いため、計算手順の章まで読み飛ばしても構わない。暦に関することは国立天文台の暦Wikiが詳しくまとめている。

 暦(こよみ)は時間の流れを記すための体系である。農耕を計画的に進めるためには季節の周期性を捉えることが必要であり、文明ごとに様々な暦が作られた。

紀年法

 年の数え方を決める方法。現代に残る身近な紀年法として以下のものがある。

  • 西暦(キリスト紀元):キリストが受肉したとされる年を基点(西暦1年)として数え上げる。
  • 和暦(元号):基本的に天皇一代につき1つの称号を当てる。年の途中でも改元されうる。公的に使用される紀年法としては世界でも珍しい方法。
  • 干支紀年法:十干と十二支を組み合わせて、60年で循環する。還暦はこの数えで一巡した誕生年に還ることを指す。

暦法

 暦法(れきほう)は暦の構成方法を示す。その一部を紹介する。

  • 太陰暦:月の満ち欠けで1か月を表す暦法
  • 太陰太陽暦:太陰暦に閏月を入れて1年の長さを調整した暦法
    • 天保暦:日本の明治5年まで使われていた太陰太陽暦
  • 太陽暦:地球が太陽をおおよそ一周する周期を基にした暦法
    • 古代エジプト歴:1年365日とした太陽暦
    • ユリウス暦:紀元前45年にユリウス・カエサルによって導入された太陽暦
    • グレゴリオ暦:1582年にグレゴリオ13世によって導入された太陽暦
    • 先発グレゴリオ暦:グレゴリオ暦導入前の期間にグレゴリオ暦を当てはめた暦

 現在、世界のほとんどの国でグレゴリオ暦が使用されている。導入した年は地域により異なる。グレゴリオ暦はローマ教皇の命により、1582年を境に10月4日まではユリウス暦、10月15日からグレゴリオ暦と切り替えるように運用され始めた。それぞれの日付は木曜日と金曜日で連続するようになっており、1582年の10月5日から10月14日までの日付は飛ばされる。カトリック諸国以外では浸透が遅く、日本では遅れること1873年に天保暦が廃されグレゴリオ暦が採用された。

 暦にちなんだ豆知識を一つ紹介しよう。欧米では13日の金曜日は不吉な日とされ、「13日の金曜日」を冠するホラーシリーズも有名である。面白いことに、グレゴリオ暦において13日は金曜日である確率が最も高い。この暦は400年周期であるため、任意の400の倍数の期間を切り取ってもこの関係性は成り立つ。

閏年

 閏年(うるうどし)とは、暦と季節のずれを調整するための余分な期間を入れた年のことである。閏には余りという意味がある。ユリウス暦またはグレゴリオ暦の閏年では2月に1日増やして29日までにする。閏年の判定方法は暦によって以下のように異なる。

  • ユリウス暦:西暦が4で割り切れる年。
  • グレゴリオ暦:西暦が400で割り切れる年、または、100で割り切れないが4で割り切れる年。判定フロー的に表すと、西暦が400の倍数の年は閏年、そうでない100の倍数の年は平年、そうでない4の倍数の年は閏年、そうでない年は平年。

 後に紹介する手法でも閏年の判定が必要である。閏年の選び方の流れを知っておくと判定方法を思い出しやすい。太陽暦では1年を365日とするが、地球と太陽の位置関係はそれより少し長い周期(365.2422日)をもつため、季節の巡りが次第にずれてくる。そこで、ユリウス暦では4年毎に1日を追加して平均的な1年の長さを365.25日と近づけた。しかし、それでも数百年の運用により次第にずれてきたため、新しくグレゴリオ暦が用意された。ユリウス暦では閏年は400年間に100回であったが、グレゴリオ暦では400年間に97回になるように設定し、1年あたり365.2425日とより近づけた。400年間の内どの97年分を選んだかというと、4年に1度では100回、そこから100の倍数の年は閏年から除いて96回、400の倍数の年をやっぱり閏年とみなして97回にした。

 なお、ユリウス暦の閏年は導入当初などで規則通りに運用されていない年があり、必ずしも計算と歴史上の暦が一致しないことがある。今回紹介する計算では理想的な閏年を考えているため、西暦1年1月1日は土曜日と求められるが歴史上は日曜日と考えられている。ここら辺の話題は暦Wikiに詳しい。

曜日の順番

 名称の順番がなぜ日・月・火・水・木・金・土になったかは暦Wikiによると諸説あるらしい。

 週が何曜日から始まるか。国や文化によって異なるが、暦Wikiによると日曜日を始まりとするところが多い。月曜日始まりの言語もある。ISO が決める日付と時刻の標準規格 ISO8601 では曜日に対する数字の割り当てとして、月曜日を1、火曜日を2とし、順番に続けて日曜日を7としている。日本では日本産業規格の JISX0301 で ISO8601と同じ数値を標準規格に割り当てている。後述の計算方法でもこの割り当てに倣う。ただし、日曜日は計算の都合上0とする。

計算機と暦

 プログラミング言語には日付型が用意されていることがあるが、暦法の実装は異なることが多い。ユリウス暦からの切り替えを含むものや、先発グレゴリオ暦を用いるものなどがある。計算機での日付の実装はQiitaの記事「Emacsと暦」が参考になる。日付は長期に利用する都合上、時間が経つにつれて諸問題が露呈することがあり、日付型に関する多くのバグがWikipedia の記事にまとめられている。

 日本語の曜日名には Unicode が用意されている。㈪㈫㈬㈭㈮㈯㈰㊊㊋㊌㊍㊎㊏㊐

床関数

 床関数はある実数に対して、それ以下の最大の整数を与える関数である。実数を {x} としたとき、床関数の記号は {\lfloor x\rfloor} と表記する。整数 {a} を正の整数 {b} で割る演算の商の値は {\lfloor a/b\rfloor} と表記できる。

剰余

 整数 {a} を整数 {b} で割った余りは、{a~\textrm{mod}~b} と表記する。余りは通常0以上、{\lvert b\rvert} 未満となるようにとる。

計算手順

 日付から曜日を計算する方法は様々あり、Wikipedia の記事にも多くまとめられている。今回紹介する手法は以下の二つである。

  • ツェラーの公式 (Zeller's congruence) [1]
  • ドゥームズデイ・ルール (Doomsday rule) [2]

 一つ目のツェラーの公式は1882年にドイツの数学者 Christian Zeller が発表した。英名には congruence (合同)が含まれており、余りを使う式であることが見て取れる。一つの式で表すと複雑に見えるが、後述の説明ではこの式を暗算向けに計算しやすい形に落とし込む。ところどころで語呂合わせも紹介する。
 二つ目のドゥームズデイ・ルールは1973年に John Horton Conway が生み出した手法である。コンウェイはライフゲームやコンウェイ記法など幅広い功績を残している数学者である。この曜日計算手法は不思議の国のアリスの著者として知られるルイスキャロルが発明した曜日計算方法 [3] を効率よくしたものとなっている。ちなみに、なぜドゥームズデイ(世界の終末日)かは [2] の論文名を見てみるとわかる。イギリス出身の Comway らしいブリティッシュ・ジョークである。

 今回計算対象とする日付は、ユリウス暦またはグレゴリオ暦における西暦1年1月1日以降の任意の日付とする。プログラムを用いて計算が一致することは確かめているため安心していただきたい。

ツェラーの公式

 大雑把に以下の手順で西暦から曜日を計算する(全体の流れは図1参照)。

図1. ツェラーの公式の計算概要

  1. 以下の5つの変数から求まる必要な値を計算する
    1. 閏年かどうか※
    2. 年の百の位以上※
    3. 年の一の位と十の位
  2. 求めた値の総和を7で割った余りから曜日を求める

 ※ a と b はユリウス暦かグレゴリオ暦かで異なるため、まずはどちらの暦法かを決めないといけない。一般的にユリウス暦の最後の月日は1582年10月4日である。覚え方は「苺パンツの年」15(いちご)82(パンツ)の10(と)4(し)と覚えよう。情けない語呂だが印象強くて覚えやすい。グレゴリオ暦の最初の月日は1582年10月15日であり、覚え方は「苺パンツと苺」とできる。

 先に計算方法を説明し、後で具体例をまとめて載せる。まずは、上に書いたaからeまでの必要な5つの値を求めていく。それらの値が7より大きい場合、それぞれを7で割った余りに置き換えて値を小さくしておいてもよい。

  1. 閏年の1月か2月の場合、-1(または6)、それ以外では0。それぞれの暦での閏年の判定法は以下の通り。

    • a1. ユリウス暦の場合は、4の倍数の年が閏年になる。
    • a2. グレゴリオ暦の場合は、西暦が400で割り切れる年、または、100で割り切れないが4で割り切れる年
  2. 使用する暦によって異なる。

    • b1. ユリウス暦の場合は「年を100で割った商を、7で割った余りを、10から引いた値」にする。納豆(7、10)と覚えよう。
    • b2. グレゴリオ暦の場合は「年を100で割った商を、4で割った余りに対応する値。0なら5、1なら3、2なら1、3なら6」にする。覚え方は令子(0:5)、遺産(1:3)継い(2:1)で去る(3:6)とかはどうだろうか。
  3. 同じ結果となる計算方法が複数あるため、使いやすいものを好きに選ぼう。共通する記号として、「年を100で割った余り」を{y}と置く。

    • ①「{y} と、{y} を4で割った商を足した値」。数式で書くと、{y + \lfloor y/4\rfloor}
    • ②「{y} を、10倍して8で割った商」とする。数式で書くと、{\lfloor 10y/8\rfloor}
    • ③ 文献[2]の方法。「{y}を12で割った商とその余り、{y} を12で割った余りを4で割った商、の3つを足した値」。数式で書くと、{\lfloor y/12\rfloor + (y~\textrm{mod}~12) + \lfloor(y~\textrm{mod}~12) /4\rfloor}
    • ④ Odd + 11 法 [4]。「{y} が奇数ならば11を足し、偶数ならばそのまま。その値を2で割った商を求める。その値が奇数ならば11を足し、偶数ならばそのまま。その値を7で割った余りを求める。7からその値を引いてできる値」(フローチャートは図2参照)。   
  4. 月日に対応する値は、1月:1、2月:4、3月:4、4月:0、5月:2、6月:5、7月:0、8月:3、9月:6、10月:1、11月:4、12月:6 である。私は次のように覚えている「一々西指し潮湖に婿、名を馳さん苦労問い、侍死んで坊主蒸す」。分解すると、「一々(1:1)西(2:4)指し(3:4)潮(4:0)湖に(5:2)婿(6:5)、名を(7:0)馳さん(8:3)苦労(9:6)問い(10:1)、侍死んで(11:4)坊主蒸す(12:6)」。侍は11月の古い俗称、坊主は12月の別名師走から連想した。

  5. そのままの値を用いる。

図2. Odd + 11 法のフローチャート

 最後に a から e までの総和を7で割った余りの値で曜日を決定する。数値と曜日の対応は ISO8601 と対応する(計算の都合上日曜日は7ではなく0ではあるが)。1は月曜日、2は火曜日、3は水曜日、4は木曜日、5は金曜日、6は土曜日、0は日曜日である。暦の違いにより、ユリウス暦の場合は a1 と b1 を、グレゴリオ暦の場合は a2 と b2 を用いて計算する。

 では、実際に具体例を3つ見てみよう。

例1:1920年1月21日
a:-1、b:6、c:4、d:1、e:0、結果は水曜日。

例2:1234年5月6日
a:0、b:5、c:0、d:2、e:6、結果は土曜日。ユリウス暦の範囲であることに注意。先発グレゴリオ暦を用いた場合でも、bが6になり、土曜日となる。

例3:1400年1月13日 a:-1、b:3、c:0、d:1、e:6、結果は火曜日。ユリウス暦の範囲であることに注意。先発グレゴリオ暦を用いた場合は、aが0、bが1になり、月曜日となる。

ドゥームズデイ・ルール

 以下の手順で曜日を計算する(全体の流れは図3参照)。

図3. ドゥームズデイ・ルールの計算概要

 この手法では、どの1年でも同じ曜日を持つ特徴的な日付を用いる。ここではそれらを基準日と呼ぶことにする。基準日として以下の月日を先に覚えておく。その年がうるう年の場合、1月と2月はカッコ内の1日足された方になる。1/3 (または 1/4)、2/28 (または 2/29)、3/14、4/4、5/9、6/6、7/11、8/8、9/5、10/10、11/7、12/12。Wikipedia の記事では下のような覚え方が紹介されていた。
1/3 (1/4):約4年に一回の閏年から、平年3回1/3、閏年4回目1/4
2/28 (2/29):最後の日
3/14:円周率(3.14...)
4/4、6/6、8/8、10/10、12/12:月と同じ数の日
5/9、7/11、9/5、11/7:セブンイレブンで9時から5時まで働く
ちなみに以下の計算では、ツェラーの公式に寄せるために、1/4 や 2/29 を考えるのと同じ効果を持つ計算として、閏年の1月か2月のときだけ -1 する操作を入れている。そのため、計算上は 1/3 と 2/28 だけ覚えればよい(ただし、閏年では1/4や2/29が本当の基準日であり、他の基準日と曜日が同じになるということは覚えておきたい)。

 計算手順は以下のようになる。

  1. 以下の3つの変数から求まる必要な値を計算する
    1. 閏年かどうか※
    2. 年の百の位以上※
    3. 年の一の位と十の位
  2. 求めた値の総和を7で割った余りから基準日の曜日を求める
  3. 基準日と比較することで、元の日付の曜日を求める

※a と b はユリウス暦かグレゴリオ暦かで異なる。一般的には1582年10月4日までユリウス暦で、1582年10月15日からグレゴリオ暦として計算する。

 先に計算方法を述べ、具体例を後述する。まず、a や b の値を求める。それらが7より大きい場合、7で割った余りに置き換えてもよい。

  1. ツェラーの公式のaと同じ。

  2. 使用する暦によって異なる。

    • b1. グレゴリオ暦では「年を100で割った商を、4で割った余りに対応する値。0なら2、1なら0、2なら5、3なら3」にする。
    • b2. ユリウス暦では「年を100で割った商を6倍したもの」にする。
  3. ツェラーの公式の c の計算と同じ。

 次に、a から c までの値を足して7で割った余りから基準日の曜日を求める。基準日の曜日と数値の割り当てはISO8601に倣う(ただし、日曜日は0)。1は月曜日、2は火曜日、3は水曜日、4は木曜日、5は金曜日、6は土曜日、0は日曜日である。

 基準日の曜日が求まったため、求めたい日付と同じ月の基準日からの差を考えればよい。例えば、仮に基準日の曜日が水曜日とする。3月17日を求めたいならば、3/14の3日後で土曜日。12月4日ならば、12/12の8日前で火曜日となる。 式で表してみよう。基準日の曜日と対応する数値を {w} と置く。基準日よりも {n} 日後なら、{(w+n)~\textrm{mod}~7} に対応する曜日に、{n} 日前なら、{(w-n)~\textrm{mod}~7} に対応する曜日になる。{\delta} =(求めたい日の日 - 基準日の日)とすると、{(w+\delta)~\textrm{mod}~7} とまとめられる。

 具体例を以下に示す。

例4:33333年3月3日
a:0、b:0、c:6、基準日の曜日:6、3/14の11日前で、結果は火曜日。

例5:111年11月11日
a:0、b:6、c:6、基準日の曜日:5、11/7の4日後で、結果は火曜日。ユリウス暦の範囲であることに注意。先発グレゴリオ暦を用いる場合、bが0になり、水曜日。

例6:2000年1月1日 a:-1、b:2、c:0、基準日の曜日:1、(本当の基準日は1/4だが既にaで考慮されているため、)1/3の2日前で、結果は土曜日。

今年の計算

 特に今年の曜日を計算しようとしたとき、年で求まる値を覚えてしまえば後は月日の要素だけで求まるため、どちらの手法でも割と早く計算できる。例えば、2026年はツェラーの公式の a+b+c の値は2であり、ドゥームズデイ・ルールの基準日は6であることを覚えておくとよい。計算が速い人は2秒もかからずに残りの計算ができるだろう。

最後に

 なんとなくまとめようと思い立ったが、書いてみると非常に長い記事になってしまった。どこで使えるかわからない特技だが計算できるようになると楽しい。とりあえずは自身の誕生日について計算してみてはいかがだろうか。なお、答え合わせは年で検索して見つかる Wikipedia 記事内の1年分のカレンダーで行うとよいだろう。

参考文献

[1] R. Zeller, "Die Grundaufgaben der Kalenderrechnung auf neue und vereinfachte Weise gelöst." Württembergische Vierteljahrshefte für Landesgeschichte, 5 (1882), 313-314.
[2] J. Conway, "Tomorrow is the day after Doomsday." Eureka, 36 (1973), 28-31.
[3] L. Carrol, "To Find the Day of the Week for any Given Date". Nature, 35, 517 (1887).
[4] C. Fong and M. Walters, "Methods for Accelerating Conway's Doomsday Algorithm part 2", arXiv:1010.0765v4 (2011).

最近の AI ニュースとSF 的な妄想

 最近、なにかと世間を賑わせている人工知能。今年に入ってからも、以下のようなニュースが次々と飛び込んでくる。

  • 2026/1/20:AI が共通テスト9科目で満点、15 科目で 97 % の得点率を達成との報告 [1]。
  • 2026/1/16:一部 AI 作曲を用いた音楽が Spotifyスウェーデン内のランキングで首位をとるも、音楽団体により公式チャートからは除外 [2]。
  • 2026/1/8:フィールズ賞受賞者のテレンス・タオ、ほぼ自律的に AI が Erdős Problems #728 を解いたと報告 [3]。類似の報告も続く [4,5]。
  • 2026/1/8:Linux の開発者リーナス・トーバルズが AI を用いたバイブ・コーディングを趣味のリポジトリで使用 [6]。

 昨年より前のニュースでも以下のようなものを思い出す。

  • 2025/12/11:9業種44の職種における実務的な職業タスクベンチマークにおいて、約7割のタスクで専門家と同等以上と評価された成果物を出力 [7]。
  • 2025/12/4:高校生が AI を利用してネットカフェに不正アクセス [8]。同年2月にも別の中高生グループで似た事件が発生 [9] 。
  • 2025/11/18:理系専門家で正答率 69.7% [10] の科学問題ベンチマーク (GPQA Diamond) で AI が91.9% の正答率を達成する [11]。
  • 2025/7/20:AI モデルが国際数学オリンピックで金メダル級の成績を達成 [12]。
  • 2025/7/19:AI モデルが競技プログラミングヒューリスティック部門の大会で人間に続き2位の成績 [13]。
  • 2024/4/11:英国作家協会による787件のアンケートでイラストレーターの26%と翻訳家の36%が AI によって仕事を失ったと回答 [14]。
  • 2023/11/4:ディープフェイクによるフェイクニュースが話題になる[15]。プロパガンダとしての利用が複数の国で観測される [16]。
  • 2023/4/18:AI で生成した写真がフォトコンテストで最優秀賞を獲得、後に出展者は受賞を辞退 [17]。
  • 2017/12/5:チェス、囲碁、将棋で超人的なパフォーマンスを達成 [18]。

上記の分野を含め、AI の様々な技術レベルが人間の平均を超え、最上段のレベルに手をかけつつある。勿論、ニュース等の見出しは誇張したり、仔細を省略したりすることがあるため、内容の吟味と解釈が必要ではある。それでも、自身が関わる分野では各人、追いかけられている実感があるのではないだろうか。

 AI の進歩がより進んだ先の極限では、我々の世界はどうなるのかと考えてみたくなる。もはや SF のような妄想であるが、人間社会のインフラは自律的に働く AI アンドロイドのみで回っているのか。脱希少性経済として人間は単純労働から解放されて、楽しめるものだけに専念しているのか。貨幣を競争的に獲得する必要性はなくなっているのか。最先端の技術や理論は人間の理解をとうに超えてしまうのか。そんな世界がもしあるのなら、是非とも覗いてみたいものだ。

 最後に、自分が学生時代に書いたレポートの一節を発掘したので恥ずかしながらそのまま載せてみる。お題は「高度に発展した AI とどう向き合うか」だった気がする。当時は生成 AI という便利なものがなかったため、人間くさい努力で必死に書いた記憶がある。共通テストの国語で9割の点数を取ったらしい AI はこの拙文をどう読み解いて(または校閲して)くれるのだろうか。


 最後に、社会の構成要素である個人はどのように過ごしていくべきかを考える。まず、私たちは AI によって日常生活をより楽しく過ごせるだろう。なぜなら、単純な労働から解放され、自由な時間が増えるからである。私達はその時間を例えばおしゃべりや学問など、自分の好きなことに使い無邪気に過ごせばいい。ただし、私たちは内発的な問いを無視して、思考を停止してはならない。つまり、ある種の哲学的な問いである、人間らしさや生きる意味などを考えることから目をそらして、ただ無自覚に快楽を享受してはならない。なぜなら、その快楽を提供している AI に依存し、AI の言いなりになってしまうからである。そんな世界は外から見たら楽園のようであるが、中にいるのは創造性と自律性が欠如し、生への欲望のみを求める変わり果てた人間である。時には自分で快楽の外へと出て、ある種の悲壮感を抱き、これからの自分や社会を考えなければならない。私たちが人間でありたいのならば、人間らしさや生きる意味を必死に考えなければならない。人間らしいと思われていたものが AI により再現可能になると、私たちは万能でないことに気づくだろう。しかし、たとえ人間らしさが少ししか残らなくても、私達はその限界を受け入れ、精一杯生きていくしかないのである。


参考・出典(すべて2026/1/20 時点参照)
[1] 【満点9科目!】共通テスト2026を最新版AIに解かせてみた(Chatgpt、Gemini、Claude)|株式会社LifePrompt
[2] Partly AI-generated folk-pop hit barred from Sweden’s official charts | AI (artificial intelligence) | The Guardian
[3] Terence Tao: "Recently, the application of A…" - Mathstodon
[4] Adam Brown on X, [2601.07222] The motivic class of the space of genus $0$ maps to the flag variety
[5] Erdős Problem #659 - Discussion thread
[6] Merge branch 'antigravity' · torvalds/AudioNoise@93a7256
[7] GPT-5.2 が登場 | OpenAI
[8] 「快活CLUB」サイバー攻撃、AI悪用し会員情報盗んだ疑いで高2を再逮捕へ…自作プログラムを「チャットGPT」で改善か : 読売新聞
[9] 生成AI悪用し楽天モバイルに不正アクセス、1000件以上の回線入手し転売か…容疑で中高生3人逮捕 : 読売新聞
[10] LLM で論理的思考を学ぶ | OpenAI
[11] Gemini 3: Introducing the latest Gemini AI model from Google [12] OpenAI on X
[13] A Programmer Beat OpenAI at Coding, Says AI Drove Him to Push Harder - Business Insider
[14] SoA survey reveals a third of translators and quarter of illustrators losing work to AI - The Society of Authors
[15] 生成AIで岸田首相の偽動画、SNSで拡散…ロゴを悪用された日テレ「到底許すことはできない」 : 読売新聞
[16] 総務省|令和6年版 情報通信白書|偽・誤情報の流通・拡散等の課題及び対策
[17] Sony World Photography Award 2023: Winner refuses award after revealing AI creation
[18] [1712.01815] Mastering Chess and Shogi by Self-Play with a General Reinforcement Learning Algorithm

記事一覧

タイトル 公開日

 自分がこれまでに書いた記事をメモしておきたくて、この記事を作成した。調べてみると、はてなブログの1記事あたりの最大文字数は約65万文字らしい。仮に1週間に1記事書いたとしても、人の一生を優に超える数の記事を、この表に追加できる計算になる(はてなブログが続いていさえすれば)。何はともあれどんなペースであっても、ブログという形でアウトプットを続けていけたらいいなと思う。

二人零和有限確定完全情報ゲームの最も簡単な例?

 二人零和有限確定完全情報ゲーム。字面だけ見るといかついがなぜか日本ではそこそこ定着した単語である。三目並べや囲碁がそれに該当するが、文献 [1] で見かけたゲームが個人的に最も簡単でわかりやすい例ではないかと思ったため紹介する。オリジナルは The Cigar puzzle と呼ばれ、葉巻で行っていたがここでは一円玉に置き換える。


コイン埋めゲーム

机に円の図形を描く.2人のプレイヤーが交互に1円玉をその図形内に収まるように埋めていく.1円玉同士が触れるように置いてはいけない.先に図形内に1円玉を埋められなくなったプレイヤーが負ける.


 二人零和有限確定完全情報ゲームの条件を満たすため、双方が最善手を取り続ければ、必ず先手必勝か後手必勝、引き分けのいずれかとなる。少し試しに遊んでみてほしい。紙にメモする必要がないほど単純明快な必勝法が見つかるであろう。

 文献 [1] は古今東西様々なパズルやゲームを集めた本である。初版が 1917 年であり、既にパブリックドメインであるため、Project Gutenberg で全文閲覧可能だ。他にも面白そうなものを見つけたい。

[1] H. E. Dudeney, "Amusements in mathematics." Courier Corporation, 1958, vol. 473.

具体例で学ぶ条件付き独立

 条件付き独立性はグラフィカルモデル因果推論 等で必須となる統計的知識である。ただ、定義だけ学んでもいまいち感覚がつかめないところがあった。文献 [1], [2] にわかりやすい具体例を見つけたため、自分なりにまとめてみる。

 まずは確率変数の独立の定義を見てみよう。2つの離散の確率変数 \displaystyle{X}\displaystyle{Y} が独立であるとは、斯様に定義される。

\begin{equation} X⫫Y ≝ P(X = x, Y = y) = P(X = x) P(Y = y)~\textrm{for all}~x, y. \end{equation}

上の定義は以下のようにも書き換えられる。

\begin{equation} X ⫫ Y ≝ P(X = x \mid Y = y) = P(X = x) \end{equation} \begin{equation} \textrm{for all}~y~\textrm{such that}~P(Y = y) > 0. \end{equation}

つまり、片方 ( \displaystyle{y}) の情報が、もう片方 (\displaystyle{x}) の情報に寄与しないことを意味する。

 具体例を挙げよう。確率変数をいくつか定義する。

  • \displaystyle{W}:自分の腕時計が壊れているときに1、そうでないときに0を取る確率変数。
  • \displaystyle{I}:友人が街頭インタビューを受けているときに1、そうでないときに0を取る確率変数。

直感的にこの二変数は独立だと考えられるだろう(まさか、自分の腕時計が壊れていても、友人が街頭インタビューを受ける確率は変わらないだろうし、逆もまた然り)。つまり、W⫫I だ。

 ここで、独立とは別の概念として条件付き独立がある。定義を確認しよう。3つの離散の確率変数 XYZ が、Z について条件付き独立であるとは、斯様に定義される。

\begin{equation} X ⫫ Y \mid Z ≝ P(X = x, Y = y\mid Z = z) = P(X = x\mid Z = z)P(Y = y\mid Z= z) \end{equation} \begin{equation} \textrm{for all}~x,y,z~\textrm{such that}~P(Z = z) > 0. \end{equation} 独立の時のように、以下のようにも書き換えられる。

\begin{equation} X ⫫ Y \mid Z ≝ P(X = x \mid Y = y, Z = z) = P(X = x\mid Z= z) \end{equation} \begin{equation} \textrm{for all}~x,y,z~\textrm{such that}~P(Y = y, Z = z) > 0. \end{equation}

つまり、既に Z を知っているときに Y の追加の情報が X の情報に関して役に立たないことを意味する。

 独立だからと言って、条件付けても独立であるとは限らない。そのようになる例を、引き続き先ほどの具体例を使って説明しよう(文献 [1] を参考にして作成した)。追加の確率変数を定義する。

  • M:自分と友人が待ち合わせをしており、うまく合流できたときに1、どちらかが遅れた時に0を取る確率変数。

腕時計と街頭インタビューの確率が待ち合わせの確率にそれぞれ影響を与えるのは以下のようにして確認できる。M ⫫̸ W は独立ではないことを表す。

  • M ⫫̸ W:自分の腕時計が壊れていたときは、待ち合わせがうまくいく可能性は低いだろう。つまり、P(M = 1\mid W = 1)\lt P(M = 1) となるため独立でない。
  • M ⫫̸ I:友人がインタビューを受けていると、友人は待ち合わせに遅れる確率が高まるだろう。つまり、P(M = 0\mid I = 1) > P(M = 0) となるため独立でない。

今、不思議なことに待ち合わせの結果で条件づけると腕時計とインタビューの結果は独立でなくなる。これは以下のようにして確認できる。W ⫫̸ I \mid M は条件付き独立ではないことを表す。

  • W ⫫̸ I \mid M:待ち合わせ時間に来ない友人はもしかしたら街頭インタビューを受けていたかもしれないと突飛に考えたとする。そんなことを思っているうちにふと、自分の腕時計と近くの時計を比べて腕時計が大幅に遅れていたと気付いた。そうなると友人が街頭インタビューを受けたなどという可能性はより低くなるだろう。なぜなら、自分の腕時計が壊れていたせいで、実は自分が遅れていて、先についていた友人はあきれて帰ってしまったという説明のほうがもっともらしいからだ。つまり、P(I = 1\mid M = 0) > P(I = 1\mid M = 0, W = 1) であり、腕時計の情報がインタビューの確率に影響を与えるため、条件付けると独立ではない。逆の例の方がより自然かもしれない。待ち合わせに遅れたら、自分の腕時計がずれている可能性をかなり高い確率で疑う。暇だったため待ち合わせ場所の近くにあるテレビを見ると、街頭インタビューを受けている友人がリアルタイムで映っている。待ち合わせできない理由が判明したも同然で、呆れ返ってもはや自分の腕時計が壊れているとは疑いもしないであろう。

 変数間の統計的関係性を図示すると図1のようになる。このような有向グラフは統計的性質のみ表現する図と考える場合(弱めの仮定)と、厳密な因果関係を表す図(強めの仮定)と考える場合があるが、今回は後者(つまり前者の解釈も成り立つ)で考えてもらいたい。つまり、 MWI に依存している。

図1.W ⫫ I だが、W ⫫̸ I\mid M となる確率変数の因果関係の例。

 上の例と同じ結果になる別の例も紹介しておく。(なんともいい加減だが)自分と友人がそれぞれの家でコイントスを投げ、表が出たときだけ待ち合わせに向かうとする。先の記号に寄せて、自分と友人のコインの出方の変数をそれぞれ W'I' とし、表か裏を取るとする。当然コインの出方は独立のため、 W' ⫫ I' である。ここで、待ち合わせが上手くいかない時を考えると、それはどちらか一方もしくは両方が裏を出したときとなる。待ち合わせの結果で条件付けるともはやコイントスの結果は独立でなくなる。式で表すと、P(W' = \textrm{Head}\mid I' = \textrm{Tail}, M=0) \neq P(W' = \textrm{Head}\mid I' = \textrm{Head}, M=0) より、 W' ⫫̸ I' \mid M となる。

 次に、今までの例とは違い、条件付けがないときは独立でないが、条件づけられたら独立になる例 [2] (図2)を紹介する。今、コース料理として、ドリンクとメインディッシュ、デザートを順に食す。ビールと言えば肉料理!肉料理を食べたらお腹が膨れるからデザートはサラダ!のように料理は他の料理との組み合わせで、図2のように選択確率が変わるとする。ただし、各料理のオーダーは前の順番に出された料理にのみ依存して決まるとする。それぞれのメニューを確率変数 ACB として表すと、図2のような選択確率では、ドリンクによって最後のデザートの確率が変わるため、ドリンクとデザートは独立でない。式で表すと、P(B = \textrm{Salad}\mid A=\textrm{Beer}) > P(B=\textrm{Salad}\mid A=\textrm{Wine}) より、A ⫫̸ B となる。一方で、メインディッシュの選択が既知となると、デザートの選択はもはやドリンクに依存せず、ドリンクの選択もデザートに依存しなくなるため、 A ⫫ B\mid C となる。

図2.A ⫫̸ B だが、A ⫫ B\mid C となる確率変数の因果関係の例。文献 [2] 参考。

 コース料理の例の他にも、条件付けると独立になる関係性がある。疑似相関の有名な以下の誤った推論がそれに当てはまる。

「アイスクリームの売り上げとプールでの溺死事故の相関が高い!アイスクリームが溺死を引き起こしている?」

結論としては夏の熱波という隠れた要素がアイスの売り上げと水難事故に影響していたという落ちである。今、アイスの売り上げと水難事故の発生件数、気温を確率変数として考え、それぞれ IDT とする。たしかに、気温が未知で季節の情報もないうえでは、アイスの売り上げと水難事故の発生件数だけを比べた場合お互いに相関があるように見えるため、I ⫫̸ D である。ただし、気温が既知で夏だと分かった上でさらにアイスの売買の情報を知っても水難事故に関する情報はもはや得られず、逆も然りなため気温で条件づけると独立 I ⫫ D\mid T となる。このような関係は図3のように表される。

図3.D ⫫̸ I だが、D ⫫ I\mid T となる確率変数の因果関係の例。

 その他の話題を少しだけ述べる。上の図で示した3つの関係性は条件付き独立における基礎的な関係性である。有向グラフィカルモデルにおいて、変数間の条件付き独立性を見つける有向分離と呼ばれる方法があり、これら3つが重要な要素として登場する。統計は容易に誤謬を招くが、バークソンのパラドックスシンプソンのパラドックスなどは条件付けや選択によって生じる代表的な誤謬の例であり、潜在的な変数に気を付けないといけない。

 独立かどうかは、条件、言い換えれば文脈によって変わりうるということだ。なにか意味ある結果が生まれたとき、変わったのは世界そのものではなく、私たちの見方なのかもしれない。

参考文献
[1] L. Wasserman, "All of statistics: a concise course in statistical inference." Springer Science & Business Media, 2004.
[2] M. Maathuis et al., "Handbook of graphical models." CRC Press, 2018.

ナイスな集合、バッドな集合

 印象に残った問題のメモ

  • 文献 [1] に載っていた問題:ナイスな集合を、そのすべての真部分集合がナイスであることと定義する。すべての有限集合はナイスである!
  • 少し文言を変えてみた問題:バッドな集合を、その真部分集合としてバッドな集合が存在することと定義する。すべての有限集合はバッドでない。

 これらの問題の肝となるのは、空虚な真の扱いである。この場合、要素数0の空集合はナイスな集合となり、任意の要素数の集合がナイスであることは数学的帰納法で証明できる。他の証明方法としては、背理法を用い、ナイスでない集合の中で要素数が最小の集合の存在を仮定して矛盾を導くこともできる.

 この問題におけるナイスやバッドな集合の定義は、それっぽい言葉に入れ替えても成り立つ中身のない定義である。空虚な真という名前は言いえて妙であり、見習いたいワードセンスである。

[1] J. Henle, "The Proof and the Pudding: What Mathematicians, Cooks, and You Have in Common." Princeton University Press, 2015.